ホームページ(WEBサイト)を制作するためには、避けては通れないスキルのひとつに、「HTML」があります。
HTML(Hyper Text Markup Language)は、ハイパーテキストマークアップ言語と呼ばれる、WEBページを作成するために開発された簡易言語です。
他のプログラムのような小難しい計算ロジックは不要で、文書をどのようにブラウザに表示させるのかをマークアップ(意味付け)するだけの比較的簡単な言語になっています。
今回は、このHTMLのバージョンについて歴史を振り返ってみたいと思います。
史実に基づいて、多少の脚色があると思いますが、予めご了承下さい。
目次
HTML誕生秘話
HTMLは、それを表示するブラウザと共に、スイスにある欧州原子核研究機構(CERN:セルン)によって開発されました。
膨大な資料や研究論文などを大勢の研究員や海外の施設と共有するために、それらの文書を効率よく閲覧するための仕組みが求められていました。
そこで文書の見出しや一覧、表組み、リンク、画像などを意味付けし、パソコン上で管理することで、それまで分厚い何冊もの資料や論文から目的の情報を探すという手間を簡略化する方法を開発したのです。
これにより、何千冊、何万冊もの書類を保管するスペースも必要なくなり、遠くの研究員に郵便で配達する必要もなくなりました。
1989年に開発されたHTMLは、1993年にバージョン1.0として正式に仕様が発表されました。
HTMLバージョンの変遷
HTMLのバージョンは、1993年から正式にリリースされました。
最初は、CERNによって開発された仕組みですが、仕様書が作成されIETF(Internet Engineering Task Force)によって管理されることとなります。
その後、HTML3.2からは、W3C(World Wide Web Consortium)という組織が規格を策定し、バージョン管理していくようになりました。
現在もW3Cによって、HTMLの仕様が勧告されています。
HTML1.0 / HTML+
このバージョンは、本来ナンバリングされておらず、以後のバージョンと区別するために便宜上、1.0と呼ばれています。
この頃のHTMLは、文書の管理、特にマークアップ(意味付け)を強く意識した構造になっていました。
今では完全に絶滅しましたが、isindex , nextid , address などのタグが存在していました。
その後、1.0の拡張版として、HTML+ が発表され、table , fig など、現在の仕様に近いものがいくつか追加されています。
HTML2.0
IETFによって管理されたHTMLのバージョンは、RFC(Request for Comments)という形式で公開されていきます。
フォームやテーブルの拡張、HTMLの国際化などが図られました。
このバージョンは、RFC2854によって廃止されるまで続きました。
ちょうどこの頃にブラウザ戦争があり、ブラウザごとに独自のタグが作られていました。(blink , marquee など)
HTML3.0 / HTML3.2
HTML3.0は、策定途中に破棄されてしまいました。
その後、HTML3.2 がW3Cによって勧告され、正式にリリースされました。
私はこのバージョン辺りからHTMLを触り始めたのですが、確かこの頃に初めて外部スタイルシートが使えるようになったと記憶しています。
この頃は、表示の体裁を整えるために、テーブルレイアウトなど、本来の使い方ではないタグの使い方が横行していた時代です。
HTML4.0 / HTML4.01
それまで曖昧だった仕様を厳密にする策定が行われ、いくつかのマイナーチェンジが行われました。
HTML4.01からは、Strict(厳密な仕様) , Transitional(3.2の踏襲) , Frameset(フレームセットの利用)という3つのスキームを持っていました。
これは、3.2からの移行過渡期であり、新しい厳密なバージョンを策定しても、以前のバージョンで作成したWEBサイトを正しく表示させるための苦肉の策でもありました。
このバージョンは、曖昧さを残していたこともあり、2014年にHTML5が勧告されるまで続くことになります。
HTML5 / HTML5.1 / HTML5.2
HTML4.01の長期政権時代には、XMLをベースとしたXHTMLもリリースされていました。
HTML4.01は、3つのスキームを持っていましたが、それに加えてXHTML1.0 も4.01をベースにしているため同様に3つのスキームがあり、さらにXHTML1.1 が厳密なルールで一本化されたものとしてリリースされていました。
簡単にまとめると、その当時には、7つの仕様があったということになります。
これは、WEB開発者にとっては、大きな障壁となっていました。
そこで、それらを1つにまとめ、さらにルールを厳密化した、HTML5という新たなバージョンを策定しました。
このバージョンの策定段階では、スマホやタブレットなど、新たなプラットフォームが誕生したこともあり、リリースまでにはかなり時間がかかってしまいました。
現在は、HTML5 をマイナーチェンジした5.2が最新版としてリリースされています。